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「今、ここ」を感じるワーク


何か不安なことを考え続けてしまうとき、気がかりに答えを出したくて、集中しすぎてそこから離れられなくなったとき、「今、ここ」を感じるワークをしてみましょう。


【1】「何が見える?」とあなたの周りに見えるものを目と首を動かしながら、3つ見つけます。窓の外が見える人は、遠くのビルが見えたり、山なみが見えたり、空が見えるところでは遠くの星が見えたり、意識の視野がサーっと広がります。


【2】次に「何が聞こえる?」とあなたの周りの音を3つ拾ってみてください。耳をそばだてながら・・と言われた瞬間に、聴覚集中モードに切り替わったでしょうか。室外にいる人の気配、窓の外から聞こえる車の音、もしも、どうしても静かな部屋ならば、自分の姿勢を変えるだけでワサっと衣服の擦れる音がしたり、椅子のきしむ音がしたりしますので、自分で音を作ってみてください。おおむね、意識の範囲が数十メートル以内に狭まります。


【3】次に「何を私は感じている?」と、自分の体の表面で感じている感覚に注意をむけ、3つ探します。ウエストのあたりにほんの少しの圧迫を感じることとか、首元にシャツの襟が当たっているのを感じるとか、足の裏が床に触れている感覚とか、眼鏡のフレームが耳に当たっている感覚や部屋の湿気や温度だけでなく、身体のどこかに湿っぽい部分があることなど、小さな気づきを探します。また、体の表面には皮膚で感じる触覚だけでなく、嗅覚を感じる鼻の穴がありますし、口の中も皮膚に連なるところとして舌(味覚)があります。それらで感じるものにも注意を向けます。さっき食べたもののカスが歯の間に挟まっているのに気づいたり、かすかな部屋の臭いや洋服の柔軟仕上げ剤の香りに気づいたり、、、すなわち、視覚・聴覚以外の五感をこの3番目の場面で見つけてみてください。慣れないと気づかないのがこの感覚ですので、丁寧に見つけてみてください。


ゆっくりと、この「何が見える?」「何が聞こえる?」「何を私は感じている?」を3つずつ見つけていきます。


【4】次に、「何が見える?」「何が聞こえる?」「何を私は感じている?」を同様に2つずつ見つけていきます。前に見つけたもの以外を探すようにしてみてください。


【5】そして、最後に「何が見える?」「何が聞こえる?」「何を私は感じている?」を1つずつ見つけていきます。


これでおしまいです。どうでしょう。始める前に比べて、「今、私はここにいるんだ!」という実感がわいたことでしょう。泥沼から抜け出すには、今を感じることが大切です。過去や未来のことを考える泥沼は頭の中にしかありません。考え続けると、泥沼からは永遠に抜け出せません。沼は一歩足を踏み入れても、早い段階なら被害を最小限に食い止められますが、そこでまごまごしていると、どんどん深みに引きずりこまれてしまいます。また、同じことをぐるぐる考えていると抑うつ感が増すので、これも要注意です。



さて、このワークは結局「何が見える?」「何が聞こえる?」「何を私は感じている?」を6つずつ見つけるのですが、6-6-6ではなく、3-3-3,2-2-2,1-1-1と3段階に分けるのには理由があります。視覚情報の収集は、意識の視野が最大限に広げられます。そのにめにも目と首を動かすことが大事です。星の光は見えるけどその音までは聞こえないように、聴覚情報は意識の視野が狭まります。そして最後の体の表面まで最小限に意識を狭めて3つ探したあとは、また2つ「何が見える?」を探すために最大限まで広げるという作業になります。


この「何を私は感じている?」からの「何が見える?」と意識の視野の拡大を意図的にするとはどういうことでしょう。意識を集中させることが上手な人(沼にはやりやすい人)は、フォーカスを狭めるのは得意ですが、開くことが下手なのです。広げようとするときに、まるで油のきれた機械のようにギスギスとひっかかってしまいます。狭小なエリアから視野を広げる練習を繰り返すことで、視点の転換がスムーズに、軽やかにできるようになります。「今、ここ」を感じるワークは、そんな効能もあり、すぐれたエクササイズだといえます。


手順がこのワークの肝ですが、普段からきょろきょろと外界に目を向けることとか、自分の五感のセンサーの感度をちょっとだけ上げることも準備運動として有効です。ただし、聴覚過敏や触覚過敏がある人もいますので、その方々は、ほかの鈍感な感覚を育てるようにすることで過敏な感覚とのバランスが整ってきます。自分にとって気になる音や触覚だけに集中するのではなく、ほかの波長の音、ほかの気にしていない感覚へ注目する練習を通して地道な努力で気がかりを放置できるようになり、沼る行動は改善していきます。徹底的な回避や完璧な排除ではなくゆるく接近行動やちょい残し回避行動を課題として立ててみてください。

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