瞑想が苦手な人のための「思いやりエクササイズ」
- 7 日前
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怒り、恨み、不安、自己嫌悪などの感情は、いったん頭の中で回り始めると、なかなか止まらないことがあります。
「あの人は間違っている」「私は不当に扱われた」「自分が誰かを傷つけたかもしれない」
こうした考えは、まだ確定していないことであっても、まるで本当に起きたことのように感じられることがあります。私はこれを「現実ではない現実感」と表現しています。この状態では、「考えすぎないようにしましょう」と言われても、かえって正しさや責任を確認したくなり、反芻が強まってしまうことがあります。
そこで私が臨床の中で整理してきたのが、思いやりエクササイズです。
これは、いわゆる瞑想そのものを上手に行うための方法ではありません。むしろ、瞑想が苦手な人、内観や静座がしんどい人、抽象的な教示が入りにくい人でも、日常生活の中で使いやすいように作った練習です。
もとになっているのは、Loving-Kindness、つまり「相手の幸せや安寧を願う」考え方です。ただし、宗教的な祈りとしてではなく、注意の向け方を変えるための小さなエクササイズとして使います。
3つの段階
思いやりエクササイズには、3つの段階があります。
Lv1では、親しい人、かわいい子猫や赤ちゃん、傷ついている人など、自然に温かな関心を向けやすい対象を思い浮かべます。ここでは、難しい相手に思いやりを向ける必要はありません。まず、自分の中にすでにある温かな反応を見つけることが目的です。
Lv2では、命のないモノを対象にします。たとえば椅子なら、「そこに座る人の身体を支えられますように」。コップなら、「誰かの渇きを潤せますように」。ペンなら、「考えや気持ちをうまく形にできますように」。モノに本当に感情があると考えるわけではありません。そのモノが、そのモノとしての役割を果たしている姿を、淡々と言葉にしていきます。
ここで大事なのは、感情を込めすぎないことです。短く、決まった型で、さらりと行います。これによって、思いやりの注意の向け方を安定させていきます。
Lv3では、その型を、苦手な人、怒りを感じる人、恨みを抱く人、または嫌いな性質をもった自分自身に向けて使います。
これは、相手を許すための練習ではありません。被害を軽く見るためのものでもありません。相手のことを考えた瞬間に、怒り、批判、反芻へ進んでしまう流れに、別の注意の向け方を差し込む練習です。
瞑想の代わりになる日常の練習
従来の瞑想やマインドフルネスは、静かに座ること、内面を観察すること、一定時間注意を保つことが求められる場合があります。しかし、注意の向け方や感覚の敏感さに特徴がある人にとっては、それ自体が負担になることもあります。
思いやりエクササイズは、目に入ったものを使い、短く、同じ型で行えるようにしています。だから、瞑想を「できる人の技法」にとどめず、多様な認知特性をもつ人にも開きやすい形にできると考えています。
怒りや不安を消すことが目的ではありません。感情に巻き込まれた注意を、いったん別の方向へ置き直し、必要な生活行動や対処行動へ戻るための練習です。相手を許すためではなく、自分の生活を取り戻すための、小さな注意の切り替えなのです。
※一年前に投稿したもの※
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